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平井 啓久
ゲノムマーカーを用いた霊長類の分子細胞遺伝学および染色体進化
教授 (2018年3月 退官)
平井 啓久 HIRAI, Hirohisa
岡山県出身。医学博士。
〒484-8506 愛知県犬山市官林41-2京都大学霊長類研究所
Tel:0568-63-0528 Fax:0568-63-0085
E-mail:hirai.hirohisa.7w@kyoto-u.ac.jp
最近の主要な研究内容
(1) 染色体変異を生起する雑種効果(hybridization effect)を有胎盤類ではじめて発見
霊長類研究所のヨザルのコロニーで生じた異種間雑種に新奇の染色体変異を発見した。Aotus azarae boliviensis (2n = 50) メスとA. lemurinus griseimembra (2n = 53)のオスの間に7個体の雑種が生じた。そのうちの4個体の染色体を解析したところ、2個体は単なるゲノムの混合であったが、他の2個体内1個体においてX染色体トリソミーが、1個体において18番染色体トリソミーならびに21番と23番染色体の相互転座が観察された。さらに、後者の個体では18トリソミーと21/23相互点座のモザイクが血液細胞で観察された。これは雑種効果(hybridization effect)によって生じたものと推測されるが、有胎盤類でははじめてのケースである。雑種種分化や雑種染色体進化の機序を検討する糸口となる。またヨザルは南米北部において複雑な種分化ならびに染色体変化が生じていることに深く関わっているものと思われる。この内容はGenome Biology and Evolution (2017)に掲載された。
(2) スローロリスにおける核小体形成部位(NOR)の多様性
謎めいた種分化で知られるスローロリス種群は比較的安定したNORをもつことで知られているが、今回タイの動物園で保護されたNycticebus bengalensisの10個体において多様なNOR変異を観察した。その内容はCytogenetic and Genome Research (2016)に掲載された。
研究業績