京都大学ヒト行動進化研究センター
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2014年から2015年にかけて、当施設放飼場のアカゲザルにて、複数の破傷風発生例が報告されました。さらなる破傷風からサルを保護するためには破傷風トキソイドのワクチン接種が推奨されましたが、先行研究からアダルト〜高齢の個体では充分な防御免疫が誘導されない可能性が懸念されます。そこで実用的なワクチン接種プロトコルとして、1年間隔で2回破傷風トキソイド接種を実施した後、全年齢層のアカゲザルを対象に3年間の追跡調査を行い免疫応答を解析しました。その結果、ワクチン接種により全年齢層のアカゲザルで破傷風発症予防に充分なレベルの防御免疫を獲得したことが明らかになりました。実際、ワクチン接種後に同群のアカゲザルは現在まで破傷風は発生していません。以上より、この実用的ワクチン接種プロトコルは、高齢個体を含む全年齢のアカゲサルの破傷風予防に有効であると考えられました。
京都大学ヒト行動進化研究センター
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